飲食店では調理で火を使用することが多いため、消防法で定められている消火器具の設置や点検、報告を行う義務があります。飲食店が遵守すべき消防法の内容や、具体的な消火器具の例について詳しく紹介します。
これから飲食店を開業しようと考えている方は必ず知っておきたい内容なのでぜひ参考にして余裕を持って準備を整えてください。
飲食店と消防法の関係
飲食店は調理時などに火を扱う場所でもあるため、火災を予防して人命はもちろん、大切な資産を守って安全に飲食店を経営するために消防法で定められている決まりを守らなければいけません。
以前は消防法により、延べ面積150平方メートル以上の規模の飲食店に消火器具の設置が義務づけられていました。
しかし、飲食店から発生した火災が原因により広範囲で大きな被害を受けた大規模火災事故を受け、2019年10月1日より飲食店における法令が改正されて延べ面積に関わらずに消火器具の設置が義務づけられるようになっています。
また、調理時に使用するのがIHクッキングヒーターや電子レンジなど電気を熱源にする機器だけの場合は、消防法で義務づけられる「火を使用する器具」に該当しませんが、自治体によってはIHクッキングヒーターや電子レンジでも消火器具の設置が必要とする場合もあるので必ず確認してください。
具体的にどのような設備が必要になるのか確認しておきましょう。
消防法で定められている飲食店に必須の消防設備
消防法により設置が義務づけられている消防設備とは、大きく分けると消火設備、警報設備、避難設備の3つです。
火災が発生した場合も迅速に対処することで鎮火・延焼を防ぐのが消火設備で、消火器などが該当します。
飲食店で発生する火災は厨房の調理器具が火元になることが圧倒的に多いため、初期消火に有効な消火器を設置しなければいけません。消火器の種類は粉末消火器と強化液(中性)消火器がありますが、確実に消火するためには冷却効果がある強化液(中性)消火器がおすすめです。
このほかに、火災警報器などの警報設備や、誘導灯などの避難設備を消防法で定められている基準に基づいて設置しなければいけません。
飲食店の構造や規模による消防法の規制の違い
飲食店の構造や規模によっても消防法で定められている防火管理者の規制内容が異なります。
建物の収容人数が30名未満の場合、防火管理者は必要ありませんが、30名以上の場合は防火管理者が必要です。
建物の延べ床面積が300平方メートル未満の場合は乙種防火管理者、300平方メートル以上の場合は甲種防火管理者の資格がそれぞれ必要です。
このほかにも、避難困難施設が入所している建物なのか、建物の管理が複数に分かれているのかなどの条件によって乙種と甲種どちらかの防火管理者が必要になるので、不明な点があれば最寄りの消防署にご確認ください。
乙種防火管理者は最寄りの消防署などで1日講習、甲種防火管理者は2日間講習で取得できる資格です。
このほかにお店のリフォームをした場合などは営業を開始する7日前までに防火対象物使用開始届出書や、火を使用する設備などの設置届などの書類を提出しなければいけません。
建物の構造や規模によってはこれらの書類が必要な場合と不要な場合がありますので、必ず消防署に確認してください。
飲食店開業までに消防法のルールを確認しておきましょう!
消防法で定められている決まりは、火災を未然に防いで安全に飲食店を経営していただくために必要なルールです。
基本的に火を扱う飲食店では消防法で定められている消防設備を準備しなければいけませんので、事前に確認しておきましょう。
飲食店を開業する建物によっては乙種・甲種防火管理者の資格取得が求められる場合もありますので、提出する書類の内容と合わせて最寄りの消防署に確認して開業まで準備を整えておくことをおすすめします。